フェーブ・コレクション☆
1999年1月1日、パリ、シャルル・ドゴール空港に到着。その日は確か、15区に予約してあったプチホテルに泊まった記憶がある。その翌日、冬にしては暖かかったパリの街中、セーター姿でお世話になる不動産屋さんに出向いた。パリには、その以前にも仕事や休暇で何回 ...
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1999年1月1日、パリ、シャルル・ドゴール空港に到着。その日は確か、15区に予約してあったプチホテルに泊まった記憶がある。その翌日、冬にしては暖かかったパリの街中、セーター姿でお世話になる不動産屋さんに出向いた。パリには、その以前にも仕事や休暇で何回も行ったことがあったけれど、住むのは初めて。
それも元旦からパリ。そしてここに1年ちょっとは住むことになるのだ、と思うとワクワクしたのを思い出す。2日は通常通りのパリの街中、それも15区は中流のパリジャンたちの住む住居区で、学校の近くのアパルトマンで私のパリ生活が始まった。
アパートの前は、スーパーがあって、ちょっと歩くと角になじみになったパン屋さんと、その隣にいつも助けてくれた写真屋さんがあった。この写真屋さんの家族はアルメニア人。フランスに帰化したのだけれど、英語がペラペラで、何かあると駆け込む私をいろんな面で助けてくれた。
その角のパン屋さんで、不恰好な丸いパイ生地のお菓子がうず高く積み上げられていて、アメリカから渡った私はそれが何か分からなかった。英語なぞ通じるわけもないパン屋さん。それが何か分かったのは、1月が来てすぐに始まった学校だった。
ガレット。それもガレット・デ・ロワと呼ぶらしい。それも、この季節にしか食べられない限定品の伝統菓子。そうなると、独り身には大きくてもいろいろと買ってみて食べるようになった。あんなに発酵バターたっぷりのお菓子をせっせと食べても太らなかったのは、たくさん歩いたから。
早くパリの街に慣れようと、最初の1年はメトロのパスも買わずに、ひたすら歩いた。15区から13区の中華街まで、延々と片道2時間ちょっと往復4時間以上歩いたこともある。だから、15区からコンコルド広場とか、サンラザールとか平気で歩いていた。
もちろん、ガレットにうまい、まずいがあるのを知ってから、いろんなお店で勉強と称して買いに行った。ラデュレ、フォション、トリヨンフ、いろんなお菓子屋さんからパン屋さんまで。チェーン店のポールや、あのころあった有名なパン屋さん(もうなくなってしまった)のものまで。
そして、フェーブを集める魅力にハマってしまい、パリに滞在した1年半で、フェーブがどっさりと集まった。そのフェーブたちは海外を転々としているうちになくしてしまったのだけれど… 今でも残念!
だって、自分の体とお財布を張って、集めたフェーブたちだったから、とても思い入れがあったのだ。
私的に言うと、あの頃、一番美味しかったのは、20区にあったトリヨンフのガレットだった。生地はもちろんのこと、中のクリームの素晴らしいこと☆ あれこそドリーミィーなクレーム・ダマンドで、実はクレーム・ダマンドではなくて、フランジパーヌと呼ばれるクリームだと教えてくれたのは、学校に同期で入って来た日本人のすでにパティシエの男性だった。彼は、ここでスタージュをしたのでそのルセット(レシピ)を惜しげもなく私たちにくれたのだけれど、これも失くしてしまった…
フランジパーヌは、普通のクレーム・ダマンドにクレーム・パティシェールを混ぜて作る。
クレーム・ダマンドの美味しさは、やはりアーモンドパウダーの質とバターの質による。フランスでは発酵バターしかないけれど、その発酵バターも実にスーパーの陳列棚の1区画を締めてしまうほどのおびただしい数の種類があるし、フランス中のバターの種類が揃っているわけではない。だから、おうちでお菓子を作る人間にはうれしい悲鳴だけれど、どれがいいかとなったら、好みや、やはり発酵バターでも質があるから悩みどころ。
いつも今でも、フランスの義両親のうちに戻ると、バターの陳列棚のところで悩む私がいる。贅沢な悩み!特にpaniヴァンの出身県は、最高級バターの産地(例のエシレやラ・ヴィレットもね)のひとつなので、他の地方にはないバターがずらりと並んでいる。どれも甲乙つけがたく、あれでもない、これでもないとやっていると、paniヴァンに急かされる。
でも、やはり一番、クレーム・ダマンドの味を左右するのは、私はアーモンドパウダーだと思う。このクリームは、バター、砂糖、アーモンドパウダー、そして卵の割合が同等なので、もちろんすべてが大切なのかもしれないけれど、いくら上質のラムで味を隠しても、やはりアーモンドクリームと呼ばれるぐらいだから、アーモンドの質で決まるに違いない。
そのアーモンドパウダーも、ちょっと湿気があったら、天板に広げて、ごく低温のオーブンで乾燥させたり。特にマカロンの時には、そうやっていたホテル時代。お菓子作りは、湿気も考慮に入れないといけないのだ。
韓国時代から12月になると、新作フェーブを心待ちにするようになった。毎年、シリーズが変わる。今年はフランスのお菓子トレンドとしては、カップケーキとエクレアなので、これらのフェーブが新作としてたくさんあった。
そして、名前を忘れちゃったけれど、ある工房の手作りフェーブ(限定品)を手に入れた。手前の3個がそう。真ん中はガレットの中から子供が顔をのぞかせているよ。左右の2つは今年と去年の日仏バージョン。どちらも限定80個。ちゃんと後ろに64/80とか書いてあるので、自分のが何個目か分かるようになっている。
これは、おっさん犬!?わかんないところが好き。
で、ガレットの中から子供が顔をのぞかせているのは、なんとなくマザーグース的かな!?考えてみると、怖い。
上のブルーのものはオテル・ド・クリヨンのもの。このマークが付いたコックコートを初めて着たときは、ドキドキした!王冠にCだから、やはり由緒を感じた。
以前にも書いたことがあるけれど、コルドン・ブルー・パリの初級コースの最終試験の私のお題目は、ピティヴィエ(ガレットのこと)だった。試験は、紙袋に入ったくじを引いて、そこに書いてあるものをレシピだけ見て作るのだ。事前に10個ぐらい、試験に出るだろうお菓子の名前を言い渡されて、その作り方をすべて暗記して実際に作ってみたりして自宅で練習したのだけれど、私はピティヴィエには当たりませんように☆と願っていたら…
引き寄せの法則で、見事に引き当ててしまった!!!その次に苦手だったオペラの方が数倍マシだった。
もう、最初からアカンと思ったら、出来上がったのは、見事に片側だけが膨れ上がった無様なガレットだった!笑
でもそれと同じようなガレットを、パリの店先でトータルで4年半暮らした間に何回も見てから、『な~んだ、大丈夫だったんじゃん、これはきっとアプロンティ(見習い)が作ったのに違いない』と、開き直った自分がいたりして。
今は、そのトラウマはなくなったけれど、やはり美味しいガレットには目がない。と言っても、今は自分の作ったものしか食べない。自分で、どれだけの良い材料を惜しみもなく使っているから分かるから。無添加だし、安全でごく上質な食材だけ。カロリーだけはメガトンだけれど、季節のお菓子は1年に1度しか食べられない。自作の昔からのやり方で作る自家製ガレットは、自分では最高に美味しいと思っている。
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私のお菓子レシピ本が発売されました。ぜひ、手に取って見てくださいね。ベーシックを教えてくれるお菓子レシピ本はちまたにたくさんあるので、趣向を凝らしてあります。ちょっと変わったものもオーソドックスなものもあって、フランスの伝統菓子も、いろいろと。
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そして私、panipopoは、大手ラッピング・包装資材の専門会社Cotta*さんと提携を結んで、月に2回このブログには載せないレシピを掲載しています。 素敵なラッピングなどやお菓子作りには欠かせない容器や材料が揃っている会社ですが、私もよくブログで使ってます。。
*** 隔週で、cotta*さんで新しいお菓子のレシピを掲載しています。@^^@
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昨日は、神経集中させてサササっとレイヤーケーキを作って、トリュフ用のガナッシュを作って絞ってから、買い出し。片道1時間のドライブ。今日は朝から、また同じくらい運転して買い出し。それから、黒豆炊いて、タルトの準備して、レイヤーケーキのデコを作る。これが私の今日のスケジュール。明日から3日間、もっと真剣に神経集中で頑張らないと!
さて、休む暇なく、今度はフレンチおせち制作開始☆ そんな様子を別ブログで紹介します。昨日はクルマエビと、そして元気に動き回る四国産のアワビが届いたよ~!
別ブログは、今日12月28日に更新しました。新しい記事は、『フレンチおせち準備編vo.2』です♪
1月のお菓子便は1月3日の夜から1週間、ネットショップをオープンします。今度は、手作りガレット・デ・ロワ、いちごと有機卵6個で作る、ふわっ+モチモチの苺ロールケーキ、焼き菓子セット、paniヴァンの出身県からの地方菓子的なガレット・デ・ロワ(パンの生地とドライフルーツで作ります。もちろん、こちらもフェーブ入り!)、マカロンセット、タルトは、シドニータルト(柑橘系)、パン便もあります。どうぞよろしくね~☆
Sucre-en-RoseのHPは、 こちら。11月19日に新しく変更(クリスマス関係、お正月関係、ギャラリーページの写真など)を追加しましたので、ぜひぜひ遊びに行ってね!
皆さんも最高に素敵な1日でありますように!!!
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