ガトー・パピーポール(オレンジ、ピスタッシュ&チョコレート)♪
見かけはシンプルな焼きっぱなしのこのケーキ。中身の味で勝負の本物ガトー。このケーキは基本的にはパウンドケーキの配分だけれど、バターが少なく、クレーム・フレッシュ(サワークリームみたいなもの)とシシリー産のピスタチオ・ペーストを練り込んである。バターは生 ...
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見かけはシンプルな焼きっぱなしのこのケーキ。中身の味で勝負の本物ガトー。このケーキは基本的にはパウンドケーキの配分だけれど、バターが少なく、クレーム・フレッシュ(サワークリームみたいなもの)とシシリー産のピスタチオ・ペーストを練り込んである。バターは生発酵バター、そしてクレーム・フレッシュも農家で作ったものだから、市販のものとは味が格別に違う。自家製のオレンジピールと、ミルクチョコレートチップは日本から持って来たミシェル・クリュイゼルを混ぜたから、このガトー、まさしくヘブンリー。
それもそのはず、今頃は天国にいるであるはずのパピー・ポール(Papi Paul)と残されて寂しいおばあちゃんのために作るはずだったケーキだった。日曜日に2人を訪問するつもりで、手土産には何か手が込んだように見えるケーキよりも、シンプルなケーキを作りたかった。
自家製のオレンジピールを作ったから、それを使ってケーキを作るつもりでいた。木曜日のマルシェへ向かう車の中で、paniヴァンに「オレンジに合うものは?」って聞いたら、「ショコラ」。それじゃ芸がないと言う私に、「シナモン、ジンジャー、ナツメグ、・・・」とスパイスやフルーツを次々と上げる彼。それでもないよ、と続ける私にダメ押しのように「ピスタッシュ(ピスタチオ)」と言い切ったpaniヴァン。
ええっ!?オレンジにピスタッシュが合うのかい!???って思ったけれど、冷蔵庫にははるばるこれまた日本から持って来たシシリー産のピスタチオ・ペーストの残りがあったっけ。あれを使ってしまおうと思考の切り替え。で、オレンジにピスタッシュ、でも何か他には?って突っ込む私に、「じゃ、そのコンビだったらチョコレート」って返って来た。
「じゃ、マミー(フランス語でおばあちゃんはMamie)にその組み合わせでケーキを作るね」って続ける私に、paniヴァンが「パピーにもだろ」って訂正を入れた。思えば、あの時、私はかなり意識してマミーにだけ、って言った。なんだか知らないけれど、パピーは食べられないなって一瞬思ったの。だから、マミーに、って言う言葉が出て来てしまった。
その言葉通りに、金曜日の夜に天国に召されたパピー・ポールは、このケーキを食べられず逝ってしまった。
だから、マミーに作ることになった大きなケーキ。訪問客のためにも何か簡単につまめるケーキがあればいいかなとも思い、日曜日に持って行ったよ。バカなオーブンは、120~150℃という低温に設定しても、こんなに黒く焼き上がってしまうのだけれど、焦げた味はしなかった!よかった。
残った生地は、パニボアで焼いてみた。何の変哲もないケーキだね。
作り方は、ちょっと変わっていて、メレンゲを作って混ぜる方法を取った。クレーム・フレッシュ(バターに対して80%ちょっとの割合)がたくさんなので、味はどうか、食感はどうかと心配だったけれど、生地の状態からもうヘブンリーな味だったから、これはかなりいい線を行くのではないかと思ってた。
やはり自分で作るオレンジピールは味が全然違う!このレシピ、いつか紹介しますね。
焼き上がって冷めて、まずは切ってみた。
(お皿はWorld of Wondersさんから)
そして、一口食べてみたら、素晴らしいピスタッシュとオレンジの芳香が頭のてっぺんまで駆け上って行ったよ。そしてミルクチョコレートがいい仕事をしていて、これは出来上がりもヘブンリー。材料もいいから美味しくなかったら反対におかしいかもしれないけれど、こんなふうにまとまりの良いバランスの取れたハーモニーはなかなか出せるものではないよ。自分でたくさんのレシピを作り出して来て言えること。
きっとパピー・ポールが何か魔法をかけてくれたのかもしれない。悲しみにくれるおばあちゃんと、その娘たちに私のケーキを通して何か慰めをかけたかったのかもしれないと思う。
このケーキを食べたパピー・ポールが残した最愛の5人の女性たちが、あれほど悲しい顔をしていたのに、一口食べた瞬間、しっかりと顔が輝いた!そして笑った。お菓子は、一瞬でも心を和らげる力があるんだなって、改めて思えた。
82年の生涯で、パピー・ポールは妻と4人の娘とその婿たちと、生まれて来た孫やひ孫に恵まれた。彼の素晴らしさと深い愛情を物語る話がある。
4人の娘がそれぞれ成長して年頃になり、ダンスパーティーに招かれると、必ずその会場まで車で送って行き、終わるまで外の暗闇の中で娘たちを待っていたらしい。何時間もひとりで。それぞれの娘たちが伴侶を見つけるまで、それが自分の父親としての大切な努めだと思っていたパピー。
やがて、孫が出来てひ孫も出来て。最後はオルガという愛犬がいた。この子も娘。最後の娘だった。どこに行くのにも一緒だったから、このオルガ、パピーが亡くなっても、その遺体が安置されているシャッターが閉じられた暗い部屋に24時間籠り、ず~っと一緒にいる。彼女のお勤めも今日が最後。
叔母さんたちが、「オルガがパピーの頬にキスしているのを見た」って言ってた。人間よりも、時には愛犬の方が、忠誠心が強いのかもしれない。きっとオルガとパピーは見えない絆で、今も繋がっているんだなって思う。
パピー、どうもありがとう。心残りはあれほど楽しみにしていたpaniヴァンとの、ひ孫を見せられなかったこと。ごめんね。パリや外国暮らしで、あんまり会えなかった私たちで本当にごめんなさい。そんな私たちを大切にしてくれて、ありがとう。異国の孫嫁を本当に可愛がってくれたこと、決して忘れません。
このガトー、いつか私のお店に「ガトー・パピーポール」として出すね。美味しいレシピをありがとう!
そして、不思議なことに、パピーが亡くなってから、paniヴァンにも少しずつ春めいた出来事がいくつか、急に起った。これは、きっとパピーの目に見えない遺産なのかもしれないと思っている。感謝☆
明日から普通のブログに戻ります。今日は、パピーの思い出に浸ることをお許しください。
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そして私、panipopoは、大手ラッピング・包装資材の専門会社Cotta*さんと提携を結んで、月に2回このブログには載せないレシピを掲載しています。 素敵なラッピングなどやお菓子作りには欠かせない容器や材料が揃っている会社ですが、私もよくブログで使ってます。
今回は、抹茶と大納言のショートケーキです。見かけはいちごのショートケーキ。切ってみたら、サプライズ!抹茶のジェノワーズと大納言のシャンティイといちごのコラボのおいしいケーキ。ぜひ見に行ってね!
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